Computational Neurology
Club
計算論的手法を用いて、アルツハイマー病・パーキンソン病・てんかんなど 神経内科疾患の病態理解と臨床応用をめざすコミュニティです。
2ヶ月に1回のオンラインセミナーを通じて、学生・研究者・臨床家が分野を越えて議論する場を提供します。
Upcoming Seminars
次回のセミナー情報
病理進行モデルに基づくPET解析による異常タウ増幅率の脳内分布推定
- 講演者
- 近藤 洋平 名古屋大学
- 日時
- 2026年8月17日(月) 10:00–11:00 JST
- 会場
- オンライン (Zoom)
アルツハイマー病では、異常タウのプリオン様伝播によって特徴的な蓄積パターンが形成されるが、その進行様式には脳領域間および個人間で大きな差がみられる。こうした差を生み出す局所的な伝播動態の不均一性を明らかにすることは、病態理解の機序解明や将来予測に重要と考えられるが、脳画像が捉える病理分布のスナップショットからプリオン様伝播の速度を直接推定することは難しい。そこで我々は、MRI由来の脳形状と白質線維方向を組み込んだプリオン様伝播モデルを微分可能にし、シミュレーションとタウPETの差を誤差逆伝播することで、患者ごとの脳内タウ自己増幅率をボクセルレベルで推定する手法を開発した。推定された増幅率は非一様な空間構造と顕著な個人差を示し、その分布は観測されたタウ蓄積量よりもアミロイド蓄積量に強く相関していた。さらに、推定した増幅率マップとヒト脳の遺伝子発現データを統合し、代謝・細胞シグナル・免疫関連過程との関連を検討した。本講演では、これらの結果をもとに、タウ病理の領域選択的脆弱性を規定する動的・分子的要因について議論する。
生体現象を捉える表現の特定可能性―神経活動に潜む構造の理解に向けて
- 講演者
- 久保 孝富 奈良先端科学技術大学院大学
- 日時
- 2026年9月14日(月) 13:00–14:30 JST
- 会場
- オンライン (Zoom)
生体現象は,神経活動をはじめとする各種の生理信号や臨床指標など,多様な観測を通して捉えられる.これらの観測はしばしば高次元かつ冗長であり,現象の多面的な情報を保持する一方で,そこから現象を直接読み解くことを難しくする.こうした高次元観測の背後には,現象を特徴づける比較的低次元の本質的な状態や構造が潜在している可能性がある.しかし,表現学習によって得られた表現が,そうした構造をどの程度一意に,かつ意味を保った形で捉えているかは自明ではない.本講演では,高次元観測から潜在構造を抽出するうえで,表現の特定可能性が果たす役割を概観する.さらに,特定可能性を単なる理論的保証にとどめず,得られた表現を比較・解釈し,神経活動を中心とする生体データに潜む構造そのものの特定に迫るための基盤として位置づけ,病態理解への接続可能性を議論する.
Computational Neurology:脳内異常タンパク質伝播の理論と実験
8:45–10:45 JST
(神戸国際会議場 5階 502)
Organizers / 企画
Speakers / 演者
第49回日本神経科学大会(NEURO2026)にて、Computational Neurology Club of オーガナイザーが企画するシンポジウムが開催されます。脳内における異常タンパク質伝播のダイナミクスについて、理論モデルと実験的アプローチの双方から最先端の知見を議論します。学会にご参加の皆様はぜひ足をお運びください。
About
Computational Neurology研究会は、計算論的な立場から神経内科疾患を体系化し、新たな学問領域として確立することを目指しています。
計算論的神経科学(Computational Neuroscience)は数理的アプローチを用いて脳や心を研究する分野です。計算論的精神医学(Computational Psychiatry)は、この中で統合失調症などの精神医学を扱う領域で、同名の国際雑誌(Computational Psychiatry)が刊行され近年国際的にも認められる分野となっています。
一方で、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患、てんかんや脳卒中など神経内科学に属する疾患に関しては、まだ計算論的な立場からの体系化が十分ではありません。
本研究会では、2ヶ月に1回の開催を通じて日本における関心を調査し、強固なコミュニティを作成することを目標にしています。学生、研究者の参加を歓迎します。