Computational Neurology
Club
計算論的手法を用いて、アルツハイマー病・パーキンソン病・てんかんなど 神経内科疾患の病態理解と臨床応用をめざすコミュニティです。
2ヶ月に1回のオンラインセミナーを通じて、学生・研究者・臨床家が分野を越えて議論する場を提供します。
Special Issue
学会誌 特集号の刊行
日本神経回路学会誌 特集号 「Computational Neurology」刊行
日本神経回路学会誌にて、本研究会のメインテーマである
「Computational Neurology」の特集号が刊行されました。
Brain/MINDS 2.0 代表・岡部繁男教授による巻頭言をはじめ、中江健エディター、
当研究会オーガナイザー陣を含む最前線の論考(全7編)がJ-STAGEにて全編オープンアクセス(無料公開)されています。
特集 収録論考一覧(全7編)
特集に寄せて
ヒト脳スケール数理モデリングと
脳画像逆解析の展開
ミクログリアと神経炎症の数理
ニューロモデュレーション
ネットワーク障害という
神経変性疾患の新規病態モデル
進行性核上性麻痺における
前頭葉性認知症状の回路基盤解明 ─
Upcoming Seminar
次回のセミナー情報
病理進行モデルに基づくPET解析による異常タウ増幅率の脳内分布推定
- 講演者
- 近藤 洋平 名古屋大学
- 日時
- 2026年10月23日(金) 13:00–14:00 JST
- 会場
- オンライン (Zoom)
アルツハイマー病では、異常タウのプリオン様伝播によって特徴的な蓄積パターンが形成されるが、その進行様式には脳領域間および個人間で大きな差がみられる。こうした差を生み出す局所的な伝播動態の不均一性を明らかにすることは、病態理解の機序解明や将来予測に重要と考えられるが、脳画像が捉える病理分布のスナップショットからプリオン様伝播の速度を直接推定することは難しい。そこで我々は、MRI由来の脳形状と白質線維方向を組み込んだプリオン様伝播モデルを微分可能にし、シミュレーションとタウPETの差を誤差逆伝播することで、患者ごとの脳内タウ自己増幅率をボクセルレベルで推定する手法を開発した。推定された増幅率は非一様な空間構造と顕著な個人差を示し、その分布は観測されたタウ蓄積量よりもアミロイド蓄積量に強く相関していた。さらに、推定した増幅率マップとヒト脳の遺伝子発現データを統合し、代謝・細胞シグナル・免疫関連過程との関連を検討した。本講演では、これらの結果をもとに、タウ病理の領域選択的脆弱性を規定する動的・分子的要因について議論する。
About
Computational Neurology研究会は、計算論的な立場から神経内科疾患を体系化し、新たな学問領域として確立することを目指しています。
計算論的神経科学(Computational Neuroscience)は数理的アプローチを用いて脳や心を研究する分野です。計算論的精神医学(Computational Psychiatry)は、この中で統合失調症などの精神医学を扱う領域で、同名の国際雑誌(Computational Psychiatry)が刊行され近年国際的にも認められる分野となっています。
一方で、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患、てんかんや脳卒中など神経内科学に属する疾患に関しては、まだ計算論的な立場からの体系化が十分ではありません。
本研究会では、2ヶ月に1回の開催を通じて日本における関心を調査し、強固なコミュニティを作成することを目標にしています。学生、研究者の参加を歓迎します。